カブスからFAとなった今永昇太投手が、年俸約34億円のクオリファイング・オファー(QO)を提示されたことが分かりました。提示額は来季の選手オプションを上回る高額な単年契約であり、受諾の可能性にも注目が集まっています。その背景には、2026年オフに予定される労使協定(CBA)失効というリスクがあり、今永の決断には制度の構造とMLB全体の動向が複雑に絡み合っています。
今永昇太にQO提示、34億円の1年契約に注目
MLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者によると、シカゴ・カブスからFAとなった今永昇太投手が、球団からクオリファイング・オファー(QO)の対象となったと報じられています。関係者によれば、今永がこの提示を受諾するかどうかが今後の焦点になると見られています。
QOの規定額はメジャー年俸上位125選手の平均で算出され、今季は過去最高の2202万5000ドル(約34億円)に設定されました。今永投手は米東部時間11月18日午後4時(日本時間19日午前6時)までに受諾または拒否を決断する必要があります。現地時間11日から始まるGM会議では代理人と球団の交渉が本格化しており、その結果が最終判断に大きな影響を与えると見られます。
QO制度の仕組みと過去のデータ
QO制度は、FAとなった選手に対して所属球団が一定額の1年契約を提示できる仕組みで、選手がこれを拒否して他球団と契約した場合、旧所属球団にはドラフト指名権が補償として与えられます。
制度は2012年に導入されて以降、QOを提示されたのは144選手(延べ157件)で、受諾したのは14選手にとどまります。受諾率は10%未満と低く、ほとんどのトッププレイヤーは長期契約を優先してきました。
それだけに、今永がQOを受け入れるかどうかは、単なる金額比較を超えた戦略的な決断といえます。過去にQOを受諾した選手たちは、市場環境や将来リスクを慎重に見極めた結果の選択をしており、今永も同様の局面に立たされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度導入年 | 2012年 |
| QO提示選手 | 144選手(延べ157件) |
| 受諾選手数 | 14選手 |
| 受諾率 | 約9.6% |
| 2025年QO額 | 22,025,000ドル(約34億円) |
| 受諾期限 | 米東部時間11月18日午後4時 |
契約構造と金額比較で見る判断材料
今永投手とカブスは2024年から4年総額約5300万ドルの契約を締結し、さらに球団が2028年まで延長できるクラブオプションが付帯していました。しかし、球団はこのオプションを行使せず、今永サイドも来季の選手オプション(1525万ドル=約23億円)を破棄してFAとなっています。
今回提示されたQOは2202万5000ドル(約34億円)であり、単年契約として見れば約9億円の上積み。金銭面で比較すれば、QO受諾の合理性は決して低くありません。
ただし、QOを受諾すれば再び単年契約となり、長期的な安定を得るチャンスを先送りすることにもなります。30代に入った今永にとって、1年契約を選ぶことがベストなのかどうかは、球団評価や市場動向を含めた慎重な見極めが求められます。
- 2024年から4年総額約5300万ドルで契約
- 2028年まで延長できるクラブオプション付き
- 選手オプションは1525万ドル(約23億円)
- 提示されたQOは2202万5000ドル(約34億円)
- 単年契約として見れば約9億円の上積み
2026年オフの労使協定失効が与える影響
今永投手の決断を複雑にしている要因のひとつが、2026年12月1日に失効予定のMLB労使協定(CBA)です。もし期限までに新協定がまとまらなければ、オーナー側による「ロックアウト」が発生し、FA市場が一時的に停止する可能性があります。前回2021年の失効時にはFA交渉が数カ月にわたり停滞し、選手契約の成立が大幅に遅れました。
このため、今永がQOを受諾して2026年シーズンを単年契約でプレーした場合、翌オフのFA市場はちょうど労使協定失効と重なります。新協定の交渉が難航すればロックアウトが発生し、FA契約が一時停止する可能性もあるため、将来の市場は極めて不透明です。
それでも今永にとっては、現時点で長期契約を急がず、まずは安定した条件で2026年を戦うという戦略的判断ともいえます。
市場と戦略の狭間で揺れる選択
今後のGM会議や代理人交渉の進展次第ではありますが、今永投手が異例ともいえるQO受諾に踏み切る可能性は、決して低くありません。
QOを受け入れるか、あるいはより長期の契約を狙うか。
この冬、今永昇太の決断は、MLBの移籍市場全体を占う象徴的な分岐点となりそうです。

